石炭、鉄、そして鉄鋼は、何世代にも渡って人々の生活に変化を与えてきました。チェコ国内では、オストラヴァほどテクノロジーの発展および産業革命の影響を強く受けた都市はありません。炭鉱の巻上げ櫓や高炉などの産業建設物、そしてヴィートコヴィツェ鉄工プラントの全景は、地上から見ても、高い位置から眺めても非常にインパクトのある風景を創造しています。しかしながら、毎日何千もの人々が働いていた巨大な地下の姿は視界から隠れています。オストラヴァの鉱工業施設は、国の文化財に指定されました。この町はただ見るだけでなく、例えば当地で開催されるフェスティバルに参加するなどして、自分の肌で感じる必要があります。  

モラヴィアの工業の中心地 

鉱業および鉄鋼業は、オストラヴァがチェコの鋼鉄の心臓と呼ばれるほどに、町に大きな影響を与えてきました。工業は町に多くのマイナス要素をもたらしましたが、現在町の利益に転じたものも残してくれています。工場、作業場、櫓などの独特な風景が、町に点在する機能主義的、社会主義リアリズムの遺産とともに、産業を背景とした新たな文化、社会生活の中で再び息づき始めたのです。これにより現在オストラヴァは、国内で他には見られない、非常にユニークな観光地となっています。

国家文化財・下ヴィートコヴィツェ地区~エレベーターで高炉のてっぺんへ、コンサートはガスタンクで 

1828年から1998年まで、ここでは石炭の採掘、および銑鉄の製造が行われていました。その後この壮大な鉱工業施設をユニークな教育・社交・文化センターに変身させるというアイデアが出され、注目を浴びることになりました。現在当地の施設は、毎日地元の市民、そして世界各国からやって来た観光客が数多く利用しています。見学者は第1高炉の頂上に、スキップホイストで上ることができます。また旧ガスタンクを改造してできた「ゴング」と呼ばれるマルチファンクション・ホールでは、会議やコンサートが開催されています。また「サイエンス&テクノロジー・センターU6」は、子供たちとその親たちが一緒に楽しめる空間、また巨大な鏡と国内最大級のルーフガーデンを持つ「(大)サイエンス&テクノロジー・センター」は、科学と技術の謎を楽しく解き明かしてくれる施設です。また文化地区フルビナは、特に芸術家とその愛好家が好んで利用する空間となっています。

自然・文化遺産と技術遺産~市内最古の炭鉱見学 

ランデク・パークは、技術遺産としての炭鉱博物館とランデク山といういわば自然遺産とを融合させたユニークな空間です。ここでは、2億5,000万年前に形成された石炭層が示されたユニークな地層断面の中を、見学ルートに沿って学びながら散策することができます。園内にあるチェコ最大の炭鉱博物館は、オストラヴァで唯一本物の旧炭鉱に作業用エレベーターで降りる体験見学をオファーしていますが、この炭鉱は町で最古のものです。また国の文化財に指定されているミハル鉱山では、閉山前に炭鉱夫が作業開始前にしていたことを全て体験することができます。一方13世紀に創設されたシレジア=オストラヴァ城は、採鉱活動によりその位置が16 メートル沈下しています。城内には、城と町の歴史に関する展示のほか、ミステリー博物館、水族館などがあり、このほかここでは様々な文化、社交イベントが開催されています。

オストラヴァの展望台~オストラヴァの火山頂上からの眺めは最高です

オストラヴァの壮大なパノラマ風景を楽しむため、どこか高い所に上ってみたいもの。例えば市役所としてはチェコ最大の敷地規模を誇る機能主義のオストラヴァ新市庁舎の、これも市庁舎の塔としてはチェコで最も高いとされている塔には、パーテルノステル(扉のない循環昇降機、キャビンは乗り降りの際も常に動いている)で上ることができます。73 mの高さにあるテラスからの眺めは、まさに絶景です。町の全景は、ボルト・タワーの屋上テラスからも一望できます。この塔は周りをガラス張りの筒形構造に囲まれていますが、これは高炉の炎を表現しています。一方エマと名付けられた丘の上では、さながら火山の頂上にいるような気分になります。これは何トンもの脈石が積み上げられたできた標高315 mの塚で、表面は白樺で覆われています。石は煙を放っており、塚の内部の温度は1,000度を超えます。この丘への立ち入りは禁止されてはいませんが、安全の保証はなされていません。それでも登ってみる価値は十分にあります。

チェコ最大の音楽フェスティバル~産業遺産の舞台でコンサート 

毎年7月オストラヴァは、チェコで最もカラフルな音楽フェスティバルで盛り上がります。マルチジャンルの「カラーズ・オブ・オストラヴァ」は、毎年世界各国のミュージシャン百人以上を迎え、国内外から数万人のファンを集めます。一方「ビート・フォア・ラブ」は、ヨーロッパで最大のダンス音楽フェスティバルの一つに数えられています。どちらのイベントも、会場となっている旧工業地帯の独特な雰囲気が、更に魅力を加えています。オストラヴァはまた機能主義建築でも知られています。中でも芸術の家と呼ばれる美術館の建物、そしてその近くにあるカフェテリア「エレクトラ」の建物は必見です。

オストラヴァ周辺のお勧めエクスカーション 

ロジュノフ・ポド・ラドホシュチェムの野外博物館は、かつての人々の生活の様子を伝える貴重な場所。一方オロモウツの魅力は町に点在するバロック式あるいは近代建築の噴水、そして有名なユネスコ世界文化遺産聖三位一体柱ですが、後者はバロック群像としては中央ヨーロッパで最大のものとされています。またコプシヴニツェの博物館では、一時世界の注目を浴びた「タトラ」ブランドの自動車を見学できますし、世界的に有名な作曲家レオシュ・ヤナーチェックの出身地フクヴァルディでは、壮大な古城の見学がお楽しみいただけます。さらにスタリー・イチーン(Starý Jičín)では、町のあちこちに城跡が見られ、またさらし台も残されています。