チェコの祝祭日

チェコの祝祭日

チェコではいつ、どんな祝日があるのか貴方はご存知ですか? 

チェコの祝祭日
世界のどの国もそれぞれ自国の祝祭日を擁しています。その中には宗教的伝統に根ざすものもあれば、その国家や国事に関連するものもあります。チェコの祝祭日は、チェコ国家の基盤となっている伝統や、高潔な目標、あるいは歴史上の岐路などを国民に再認識させるものとなっています。ここではチェコに来られる予定の方のために、その日程がどんなチェコの休日に当たるか、そしてその休日がどんな意味を持つのかをご教示いたしましょう。

1月1日:チェコ共和国独立記念日および元旦

最初の祝日は、年の最初の日に当たりますが、この日は2つの意味で祝祭日とされています。まず元旦 - 他の国々同様、チェコでも新年の訪れを祝います。チェコでは元旦前に個人、あるいは家族、会社などで新年における健康と幸せを願う挨拶状を、美しいあるいはウィットに富んだ絵柄入りで送る習慣があります。元旦は、大晦日夜の大々的なお祝いの後、静かに過ごす休日となっています。元旦には家庭でレンズ豆の粥を食するのが伝統となっていますが、これは食べるレンズ豆の数ほど多くのお金が入りますようにという願いを込めたものとなっています。1月1日の2つ目の意義は、チェコ共和国独立記念日にあたることにあります。旧チェコスロヴァキアは1992年12月31日の夜12時に解体されたため、独立したチェコ共和国発祥の記念日が1月1日となったわけです。

3月または4月:復活祭金曜日と復活祭月曜日 

チェコは、キリスト教世界にその文化的基盤を置いていますが、キリスト教徒にとって一年で最も重要な祝日は復活祭(イースター)です。なぜならこの日はキリスト教を開祖したイエス・キリストの死および復活を記念する日だからです。イースター・マンデーには様々な民俗的習慣が結びついていますが、これらはチェコ国内の地方によって異なります。ただ春の訪れを祝う意味も持つこの日、女性が卵に色や模様をつけて「クラスリツェ」と呼ばれるイースター・エッグを作り、これを、イースター・マンデーに歌を歌いながら「ポムラースカ」を手に家々を回る男性にその御礼として差し出すことは、全国共通の習慣となっています。ポムラースカとは、柳の若枝で編んだ鞭のことで、男性はこれで周囲の女性の腰を鞭打ちます。とはいえ、大半は象徴的に優しく叩く程度ですので、どうぞご心配なく!この習慣はキリスト教伝承前の名残で、女性の健康と多産とを祈る儀式がその由来となっています。イースターにはまた、イースター・マーケットも付き物ですが、これは町の中心部、あるいは屋外民族博物館などで開催されますが、後者の代表的なものとしては、モラヴィアの町・ロジュノフ・ポド・ラドホシュチェムの屋外博物館が挙げられます。

5月1日:メーデー、恋人たちの日 

5月1日はチェコのみならず、ほぼ世界中でメーデーとして認識されています。これは1886年にアメリカの労働者が起こした運動を記念する日ですが、その祝い方は様々で、共産政権崩壊後30年を経た今日も、チェコスロヴァキア共産党が組織する行進への強制参加を思い浮かべる人が数多くいます。そのためチェコ人の多くはこの日を恋人たちの日として、愛する人と過ごし、花満開の木の下で口づけをする休息の日と受け止めています。この習慣は19世紀のチェコの詩「マーイ」に由来しているのですが、その詩はこんなフレーズで始まります:「夜更けた頃、5月1日、夜の5月、愛の時間…」。この日を過ごす花満開の公園としては、例えばプラハのペトシーンの丘などがお勧めです。

5月8日:解放記念日 

1945年5月8日にナチス・ドイツが降伏し、欧州大陸における第二次世界大戦が終了してから既に数十年経ちます。しかしながら世界中の歴史、そして人々の命に影響を与えたこの戦争は、チェコ国内でかつて勃発したどの戦争よりはるかに大きな傷跡を残し、その傷跡は今も消えることがありません。そのためこの終戦日をチェコの祝日とし、毎年国の至るところで軍隊の行進や様々なイベントでこの日を回想、祝福しています。中でも最も有名なイベントとしては、プルゼニュの解放記念祭が挙げられます。

7月5日:キリルとメトディウスの日 

7月初頭には、863年にスラヴの使徒キリルとメトディウスが大モラヴィア帝国に到来したことを象徴的に祝います。当時この兄弟は今日のチェコの地、当時スラブの原始教世界にキリスト教布教の目的でやって来ました。2人はこの使命に懸命に取り組み、聖書の一部を古代スラブ語に翻訳するために、古代スラブ語の特徴に合った文字を考案し、学校まで創設しました。今日7月5日には、キリルとメトディウスの功績に敬意を表して、例えば南モラヴィアヴェレフラットで巡礼が行われていますが、恐らくこのヴェレフラットの近くに、大モラヴィア帝国の中心地があったとされています。

7月6日:ヤン・フスの日  

この日はヤン・フスを記念する日となっています。フスはローマカトリック司祭にして、チェコの中世宗教家、大学の教育者、宗教改革者そして伝道師だった人物です。フスはカトリック教会の最初の改革者で、その後続者、ルターやカルヴァン、ツヴィングリなどに1世紀近く先駆けて行動を起こした人物として知られています。当時の教会はフスを異端者として、その破門を決定しました。フスにはドイツのコンスタンツで開かれた公会議で、その教義の正当性を示す機会が与えられるはずでしたが、結局異端者として裁かれ、その教義を撤回することを拒んだ結果、1415年に火刑に処されました。この15世紀の思想家の軌跡は、現在も国内にいくつか残されています。中でも最も重要なポイントとしては、フスが説教を行っていたプラハベツレヘム礼拝堂、そして南ボヘミアフスィネツの町に残る生家が挙げられます。.

9月28日:チェコ国家の日 

チェコ国家にちなんだ祝日は3つありますが、その2つ目がチェコ国家の日です。これはのちにチェコ国の守護聖人、カトリックの聖人に指定されたボヘミア公・ヴァーツラフが、935年9月28日に殺害されたことに由来しており、この日には、殺害の場所となったプラハ郊外のスタラー・ボレスラフに巡礼がなされています。聖ヴァーツラフのことをもっと詳しくお知りになりたいという方は、是非プラハ城の常設展示「プラハ城の物語」をご覧になってください。ここには、聖ヴァーツラフが使用していたとされる兜と鎧も展示されていますが、考古学研究・調査の結果、これらは1,000年以上前に聖ヴァーツラフに実際に属していたものとほぼ断定して間違いないとされています。

10月28日:チェコスロヴァキア独立記念日 

チェコ国家に関連する3つ目の祝日にあたるのが、10月28日です。第一次世界大戦終戦期、1918年のこの日、独立国家チェコスロヴァキアの誕生が宣言され、オーストリア・ハンガリー帝国が完全に解体されたのです。この日も国内各地で関連行事が開催されますが、最も重要なものとしては、プラハのヴィートコフ国家記念碑で毎年実施される軍隊のパレードと花輪を掲げる式典、そしてプラハ城で行われる国家勲章授与式が挙げられます。

11月17日:国際学生の日、自由・民主主義闘争記念日

11月17日は2つの記念日が重なっていますが、これらは相互に深く結びついています。まず最初の出来事は19391117に起こったことで、この日当時チェコスロヴァキアを占領していたナチス・ドイツの幹部が、チェコの大学を全て閉鎖し、ナチスの占領に抵抗していた学生運動の指導者達の一斉検挙を行いました。そのうち何名かは裁判なしで処刑され、その他約1,200名がナチスの強制収容所に送られています。2つ目の出来事は19891117に勃発したもので、ナチスの学生に対する弾圧事件50周年を記念する集会が、共産政権に反対するデモに形を変えていったのでした。中でも最大のデモの開催地となったのが、プラハの国立劇場近く、ナーロドニー通りで、ここで警官隊が力の行使に出たため、これが人々を大規模なストライキへと駆り立てることとなり、最終的に共産政権の崩壊へと繋がっていったのです。翌年1990年にはチェコスロヴァキアで民主的な総選挙が実施されています。

12月24~26日:クリスマス

クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝う、やはり重要なキリスト教関連の祝日です。12月24日のクリスマス・イブには、キリスト教およびキリスト教以前を起源とする様々なクリスマスの習慣が結びついています。例えばイブの晩餐に魚とポテト・サラダを食べること、クリスマスツリーに灯りをともすこと、プレゼントを交換することなどですが、この他イブの日中に断食を守る者は夜黄金の子豚を見ることができるという言い伝えもあります。25、26日は休養の日、あるいは親戚と集まったり、どこかに出かけたりする日となっていますが、信者は教会を訪れ、宗教的な祝福を行います。この他クリスマスと言えば、クリスマス・マーケットを思い浮かべる方も多いでしょう。チェコ国内では、プラハオロモウツ、あるはチェスキー・クルムロフのクリスマス・マーケットが特に有名です。