源流を訪ねて

源流を訪ねて

遡上の旅にご招待

源流を訪ねて
この夏、貴方も探検心を奮い立たせて、ボヘミア、モラヴィア、シレジアの川の源流を探る旅に出てみませんか。山あいの水源の美に魅了されること、間違いなしです。ワイルドな大自然はもちろん、美しく整備された古城の庭園までもご覧いただける源流の旅に、貴方も是非ご一緒ください。

ヴルタヴァ - チェコ最長の川の源流へ 

チェコ最長の川ヴルタヴァは、特にプラハの中心部を二分して流れる川として知られています。但し川の水源はその遥か南方、シュマヴァ山間の村・クヴィルダの近く、チェルナー・ホラと呼ばれる山の斜面に位置しています。水源へは、クヴィルダから青色の印がついた約6 km のハイキング・コースに沿って進めば行き着きます。ヴルタヴァの源水は、塩分・金属を含み、治癒効果があると言われています。またヴルタヴァ源流の旅の疲れを癒す場所としては、水源から赤い印に沿って行ったところにあるモドラヴァ村がお勧め。村の地ビール「リエル」でたっぷり英気を養ってください。

ラベ  ― 小川からチェコ最大の河川へ 

チェコ最大の川ラべの水源は、クルコノシェ山地内、ポーランド国境に近いラべ草原(Labská louka)にあります。ここには幾つもの金属製の紋章がはめ込まれた小さな石垣が見られますが、これはラべ川が北海に注ぐまでの流域に位置する町を表しています。ラベの水源は海抜1,387 m の高さにあるので、そこからは周囲を一望する素晴らしい景色もお楽しみいただけます。源流へは、シュピンドレルーフ・ムリーンから青い印に沿って行くのが最適ですが、高い山の中を1日歩くことになるので、それなりの覚悟が必要です。道中ところどころに滝が見られますが、少し脇道を行くと、チェコで最も高く、最も美しいとされているパンチャヴァ滝(Pančavský vodopád)も目にすることができます。このハイキング・コースが難しいという方は、バスを利用すれば、頂上に近い場所までバスで登ることができ、クルコノシェの尾根に沿って3 kmほど歩くだけで、水源にたどり着けます。

モラヴァ ― 欧州の屋根から注ぐ川 

チェコで3番目に高い山地、クラーリツキー・スニェジュニークは、その稜線が欧州の主要分水界を成していることから、ヨーロッパの屋根と呼ばれています。ここはちょうど北海、バルト海、そして黒海の分水界となっているのです。同名の山の頂上付近にはモラヴァ川の水源がありますが、これは井戸の形に整備されています。ここから山の急流が谷を下り、やがて大きな河川となってモラヴィア地方一帯を流れていくのです。モラヴァ川の水源へは、ハイキング・コースを歩いて行くしか方法はなく、ストシーブルニツェ(Stříbrnice)村から約7 km、ドルニー・モラヴァ村からは9 kmという長い道のりになっています。最も美しいコースは、欧州の 3つの海に水を注ぐ場所、クレパーチ(Klepáč)山の頂上を超えて行くもので、更に少し距離が長くなりますが、試してみる価値は十分にあります。



オドラ - 週末限定でアクセス可能な水源

オドラ川の源流は、モラヴィア低イェセニーク地域に位置しています。水源には何十もの水の細い筋が注がれていますが、これは雨または雪解けの時期、量が増したときにしかなかなか見えにくい状態にあります。そこでここには、水源が常によく見えるよう、新たに井戸が作られました。但し源流はコズロフ村付近、リバヴァーと呼ばれる軍用地内に位置するため、ここではチェコ陸軍の演習が行われています。そのためオドラ水源を含むこの一帯への立ち入りは、演習が行われない週末および祝祭日のみ許可されています。

ベロウンカ - 水源を持たないロマンチックな川 

4つの支流から成るベロウンカ川は、支流の長さにおいて右に出るものはありません。ベロウンカと呼ばれているのは、西ボヘミアプルゼニュにおいてムジェ川とラドブザ川が合流する地点から先の本流部分で、自然のままの姿で、森や谷の中を蛇行していることから、チェコで最も美しい川の一つとされています。その流域ほぼ全域がボートで進める状態にあるため、カヌーやラフティングにも最適です。川の周辺には、レンタルショップ、キャンプ場、そしてレストランもありますが、特記すべきは「ウ・ロズヴェトチーカ」と呼ばれるビアホール。約100年の伝統を誇る由緒ある店なので、機会がありましたらどうぞ一度立ち寄ってみてください。また流域にはカルルシュテインクシヴォクラートなど美しい古城が点在しているほか、ここでは現在国立公園への「格上げ」を狙うクシヴォクラート自然保護区の自然美もご堪能いただけます。

オルリツェ ― 山地一帯にその名を与えた川 

オルリツェは東ボヘミアを流れる川で、フラデツ・クラーロヴェーでラベ川に注いでいます。但しその源流ははるか北方、この川の名にちなんで名づけられたオルリツェ山地の中に位置しています。オルリツェ川、そしてジヴォカー・オルリツェと呼ばれるその分流の流域には、下オルリツェ(Podorlicko)と呼ばれる地域がありますが、ここは、フランスのロワール地方と同様に川に沿って古城・城館数多く集中しているため、観光のメッカとなっています。そのいくつかは今日に至るまで貴族の所有下にあり、城内の廊下で、そこに居を構える領主の末裔に鉢合わせることも決して珍しくありません。ここには半径約10 km内に4つの城館(チャストロヴィツェドウドレビ、コステレツ・ナド・オルリツィーのノヴィー・ザーメック<ニュー・シャトウ>、ポトシュテイン)、そして2つの古城(ポトシュテインリチツェ)が見られます。城見学の合間には、城内のカフェでくつろいだり、広大な庭園を散策したりすることができますし、またジヴォカー・オルリツェ川に沿って整備されているサイクリングロードを利用して、サイクリングを楽しむことも可能となっています。