モラヴィア・カルスト洞窟群

モラヴィア・カルスト洞窟群

モラヴィア・カルスト地域で地球の内奥へ入り込む

中央ヨーロッパで最も規模が大きく最も美しいカルスト地形を訪れると、だれもがその光景に息を呑みます。ここモラヴィア・カルスト最大の観光名所は世界的に有名なマツォハ渓谷です。深さが138メートルあるマツォハ渓谷は物恐ろしい伝説でも知られています。どんな訪問者も圧倒するモラヴィア・カルストは、チェコ共和国の自然界の不思議の一つに数えられています。

モラヴィア・カルストでは全部で5つの洞窟を探訪することができます。洞窟群のほかに一見の価値があるのが、プスティー・ジュレプ(「荒涼とした谷」の意)とスヒー・ジュレプ(「涸谷」の意)の二つの典型的なカルスト渓谷、それにビーラー・ヴォダ・ドリーネ(「白い水のドリーネ」)です。モラヴィア・カルストの象徴的な存在はルヂツェ・ドリーネで、このドリーネではイェドヴニツェ地下川の水が最大90メートルの深さまで潜り込んでいます。イェドヴニツェ地下川は12キロメートル離れたビーチー・スカーラ(「野牛の断崖」)付近で地上に現れます。

ボートで秘境探訪、恐怖の伝説

プンクヴァ洞窟をご見学の際はプンクヴァ地下川をボートで移動するのがよいでしょう。神秘的な世界を探訪しながら、大洞窟の天井の崩壊によって形成されたマツォハ渓谷の深さ138メートルの底から望む絶景を堪能することができます。マツォハ渓谷の名前の由来は、継母(チェコ語で「マツェハ」)にまつわる伝説から来ています。夫の財産を狙って息子を邪魔に思っていた意地の悪い継母が、ある日森におびき寄せた息子を谷底に突き落としたのです。その後、継母は良心の呵責に苦しみ自ら谷に身を投げたと伝えられています。ボートの旅では三つの湖を通り抜けメルヘンティックなマサリク・ドームに向かいます。マサリク・ドームでは不思議な形状の巨大な石筍群や鍾乳石群、それに石柱群の魅力を堪能することができます。

暗がりに浮かび上がる石造レース模様

カテジナ洞窟の入口はフラヴニー・ドームに通じるゴシック風玄関になっています。フラヴニー・ドーム(「メインの鍾乳洞」の意)はモラヴィア・カルスト最大の地下空間を誇り、音響の良さを活かしてコンサート会場としても利用されています。最大4メートルに達する棒状の石筍、色彩豊かにライトアップされた「魔女」、「竹林」それに「羊」などの奇岩群は、洞窟内のユニークな観光スポットになっています。スロウプ・ショシューフカ洞窟はスロウプ町近郊にある洞窟です。この洞窟は鍾乳洞と通路それに地下渓谷からなる巨大な複合地形です。「燭台」と呼ばれる石筍のほか、洞穴内生成物、石灰華、ムーンミルクなどをご覧になれます。「洞窟迷路」の異名を持つヴィープステク洞窟は儀式用の洞窟でした。ここは先史時代の動物の骨が出土した場所なのです。一方、バルツァルカ洞窟では多種多様な洞穴内生成物と2層の洞窟通路が見る者を圧倒します。

周辺の観光地

モラヴィア・カルスト地域はモラヴィア地方の主都ブルノの近郊に位置しています。クジュチニには天才建築家ヤン・ブラジェイ・サンティニ=アイヘルが手がけた重要な巡礼地があります。ウェスタン・パークがあるボスコヴィツェは家族連れの旅行者を惹きつけていますが、ウェスタンだけでなくボスコヴィツェ城を訪ねたり当地のユダヤ人の歴史に触れるのもよいでしょう。

モラヴィア・カルストと周辺地域の魅力的な世界をいちどぜひ探訪してみてください。