ボヘミア中央山地

ボヘミア中央山地

ラベ川により分断され、且つ四方から奇妙な形の丘に囲まれたこの地方は、詩人でも表現しきれないほどの神秘的な美しさに満ちています。
一方で火山の力に圧倒され、また一方で人々の生の営みにより沈静を取り戻したこの地方は、スラヴ人最初の定住地とされており、様々な伝説と神話に溢れた地となっています。その象徴となっているのが、チェコ人の魂の山と言われるジープ山です。円錐丘と堆積岩、尖塔状あるいはパン状の小山、そして単独で聳え立つ巨大な山が形成する迷路、女王・ミレショフカ(ボヘミア中央山地最高峰の名)と国王ハーズンブルク(古城の名)の王国 - それがボヘミア中央山地です。国王と女王の周囲にはその臣下よろしく、奇妙な形をした数々の小山、丘が連なっています。これを挙げてみると、まず暑い夏の日も氷が張っているプレシヴェツ山、その弟分で、凍り付くような寒さの中でも緑の草や苔をたやさず、内奥より熱い息を吐き続けている「火の山」ボレッチ、そしてトシェビーヴリツェ村の近く、草原の中にみられる「石の太陽」と呼ばれる岩などがあります。この地は、濃い紅色が特徴の、ボヘミアン・ガーネットの産地としても知られています。また人々はここに素晴らしい建築物、そして誇り高い町を築いてきました。前者は例えば、バロック式のリボホヴィツェ城、錬金術の実験がなされた過去を持つルネサンス式のブディニェ城、ロココ式のプロスコヴィツェ城などがありますし、また後者の例としては、岩壁の上に建てられたユニークな「鳥の家」を擁する中世の町ウーシュチェクが挙げられます。町の郊外・オストレーには礼拝堂と磔刑像、そして森の中に教会の身廊があり、更にヘルフェンブルクの城跡も見られます。この他必見の町としては、ロプコヴィツェ家の城を中心に栄えた優美な町・ロウドニツェ、人間の不寛容性が招いた悲劇的を今に伝える、歴史の物言えぬ証人として世界的に有名なテレジーン、ドームスキー・パホレクと呼ばれる高台と、そこに聳え立つ聖シュチェパーン教会が圧巻の、美しいリトムニェジツェ、そして未だ発見されていない美を秘めたウースチー・ナド・ラベム(あまり知られていませんが、この町は「滝の町」の異名を持ち、その周辺には素晴らしい自然が広がっているのです!)などが挙げられます。この地方はまた、北国のさらに北部に位置していながら、葡萄収穫地でもあり、これから造られるジュースやワインは非常に美味と高い評判を得ています。さらにポルタ・ボヘミカと呼ばれるラベ川の広大な曲流地域、あるいはブコヴァー山の麓に位置する町・ヴェルネジツェの周りに広がる神秘的な高原などなど、見所は数限りなくあります。